二〇一九年一月 大寒 - 1/2

 記録
 二〇一八年九月
 盛岡市内の公園にて男女四名の変死体が発見される。死因はいずれも頭部変形による脳圧上昇及び呼吸麻痺。同日、“窓”より住宅街にて呪霊が出現したとの報告があった。外見の特徴から、東京・里桜高校の生徒を襲った特級呪霊と推定される。呪霊が目撃されたの近くの時間貸駐車場にて、非術師の男性一名が倒れているのを補助監督が発見した。頭部に特級呪霊のものと思われる呪力が残されていたが、命に別状はない。被害者は、何者かに頭部を掴まれたような感覚があり、次の瞬間には病院のベッドの上にいたと話している。肉体を改造された様子はないものの、後日家入硝子医師の診察を受けることとなった。

 二〇一八年十一月
 池袋にて、非術師を呪殺したとして日車寛見の身柄を拘束した。殺されたのは仙台高等裁判所の裁判官一名と検察官一名で、いずれも盛岡母子殺害事件の控訴審を担当していた。事件当時、日車は被疑者弁護人として出廷しており、判決が言い渡された直後に犯行に及んでいる。目撃者の何名かが日車の式神を視認していることから、宮城県警より呪術師派遣要請を受けた。高専はのベ二十名の呪術師を派遣するも、日車の逃走を許してしまう。
 日車は十月に発生した特級呪霊襲撃の被害者であり、その際に脳の一部を変形させられたものと考えられる。家入医師からは、脳の変形に伴い衝動性を抑えることが難しくなっている可能性も否定できないとの意見書が提出された。それを受けて総監部は日車を「制御不能な、非術師に対する脅威」と認定し、検察へ報告書を提出。全呪術師に対して「やむを得ない」場合には現場での排除を許可すると通達した。なお、拘束にあたった五条特級呪術師及び虎杖四級呪術師より、更生の余地があることから、日車の脅威認定を取り下げる嘆願書が提出されている。

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